統合医療とは、現代西洋医学に、様々な相補代替医療(当院では実施していませんが、例えば漢方や鍼灸治療、ホメオパシーなど)を組み合わせて行う医療のことで、臓器(局所)を集中的に診る西洋医学だけではカバーできない身体・精神・心を統合的に診る医療です。
人の医療、特にヨーロッパなどの海外では一般的に親しまれている治療方法です。
悪性腫瘍(がん)、アトピー性皮膚炎、慢性腎不全、老齢性疾患、神経疾患、生活習慣病などの慢性疾患など、治療の困難な病気を抱えた多くの動物たちと、日々の診療では向かい合います。
当院は西洋医学をベースに治療を行っていますが、西洋医療だけでは治療が難しかったり、動物への負担が大きかったリすることもあります。
他の治療方法の選択肢として当院では統合医療を導入することで、動物に優しい医療を目指しています。
当院がかかりつけの動物病院でなくとも、かかりつけの先生と相談をしながら、当院での統合医療を受けていただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。
当院で導入している医療内容をご紹介します。

オゾン療法

オゾン療法とは、免疫細胞の代謝を活性化させて免疫系の調節を行い、抗酸化作用を高めることで動物自身の治癒する力を引き出すことを促す治療法です。
他の治療とも安全に併用でき、副作用も少なく、動物に負担をかけない治療方法です。

オゾン療法の主な効果と適応

免疫細胞活性化作用

がん細胞の抑制、抗がん治療の副作用の軽減、各種感染症

免疫調整作用

自己免疫性疾患(免疫介在性溶血性貧血や血小板減少症など)、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどの緩和

消炎鎮痛作用

筋肉や神経、関節などの痛みの軽減、椎間板疾患

創傷治癒の促進

皮膚炎や褥瘡(床ずれ)などの改善

アンチエイジング

老齢性疾患、血行改善作用、副腎・脳下垂体活性化作用による元気・食欲の回復

当院での治療方法

オゾンガス注腸法(RIS)

オゾンガスを肛門より細いカテーテルを入れて行なう治療です。RISは、痛みがなく、短時間で、容易に実施できる治療法です。

皮下注射法(局所注射法)

痛みのある部位や腫瘍局所にオゾンガスを注射する治療です。

*一般的には1週間に2~3回の治療を1カ月間実施し、その後は症状にあわせて回数を決めていきます。
*当院ではがん治療の場合はまず、最初にオゾン療法を行ない、その後に高濃度ビタミンC点滴療法を半日入院で実施しております。

慢性的な病気で元気や食欲がなかったり、寝たきりになった動物たちには、著しい改善があることを数多く経験しておりますので、お気軽にお問合わせください。

【オゾン発生装置(ペットファインTK-20)】

【オゾンガスを肛門から注入します】

高濃度ビタミンC点滴療法

ビタミンCは通常の状態では、抗酸化作用・還元作用を持っています。血清中のビタミンCを点滴により超高濃度にすると、過酸化水素が大量に発生し、ガン細胞を死滅させることができるといわれています。この作用は、正常細胞には、副作用がなく、一般の抗がん剤のように耐性が起こらず、あらゆるがんに効果が期待されています。

高濃度ビタミンC点滴療法の効果

従来の治療法との併用で相乗効果や再発予防、抗がん剤の副作用を和らげるなどの効果が期待できます。

  1. 抗ガン作用、免疫賦活作用
  2. 抗菌・ビールス作用(感染を防ぐ)
  3. 抗酸化作用
  4. コラーゲン増殖作用(がん細胞を閉じ込めて、再発・転移を防ぐ)
  5. 腫瘍血管新生阻害作用(がんにできる新しい血管を作りにくくして、がんの進行を抑える)
  6. 鎮痛作用

などが、証明されております。

*当院では、がんとの闘病中に抗がん剤治療と併用して行ったり、手術でがんを摘出した後に転移や再発の防止として行うことが多いです。

高濃度ビタミンC点滴療法の実施について

*高濃度ビタミンC療法は、抗がん剤などのような副作用はなく、安全に行えるのが特徴ですが、アメリカの報告では犬3300頭に1頭の割合で遺伝的に高濃度のビタミンCを投与すると溶血性貧血を起こしてしまう個体が存在すると言われています(G6PD異常症)。そのため投与前に必ず遺伝子血液検査による診断が必要になります。
また、重度の心不全や腎不全の動物にも実施することが出来ません。

治療は病態により異なりますが、一般的には週2~3回の半日入院にて点滴を行い、 定期的に血中のビタミンC濃度を測定しながら実施していきます。

【細胞診-がん細胞】

【高濃度ビタミンC-薬剤】

ホモトキシコロジー療法

【ホモトキシコロジー薬剤】

ホモトキシコロジーとは、ドイツのハンス – エインリッヒ・レクヴェク博士が提唱されている治療体系に関する理論です。ホモトキシコロジーは、体にとって有害な物質(毒素)が病気を引き起こすという理論が基となっています。
その毒素は、体が健康なうちは血液やリンパを通して排泄器官(肝臓、腎臓、腸管など)によって体外に出されますが、ストレスや老化などにより排泄機構が衰えてくると毒素は蓄積されていきます。毒素の蓄積が慢性化すると様々な病気になると考えます。
この毒素を毒素に対抗する薬を使用して体から排泄することで、病気を治療していくのがホモトキシコロジーです。
ホモトキシコロジーは「この病気であればこの薬」というように、臨床経験に基づいた処方が行われ、西洋医療に近い治療法です。

*当院では慢性腎不全の治療で、従来の治療法(食餌療法・点滴・内服)と併用して行っています。特に腎不全の動物のQOL(生活の質)の改善に効果がみられます。
*これらの治療の導入は、動物にとって必要かどうかをよく飼い主様と相談し、ご希望に沿って行ってまいります。