猫ちゃんの健康管理

予防について

1、混合ワクチン接種

慢性的な鼻気管炎や結膜炎を引き起こす猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルスや、激しい嘔吐・下痢を起こし生命に関わる猫汎白血球減少症などの予防が可能です。
初年度は2回、その後は毎年1回の追加接種が必要です。
やむを得ず、外に出る猫ちゃんには猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)に対するワクチンもございます。

2、フィラリア予防

犬ではよく知られているフィラリア症。実は猫にも感染することはご存知ですか?
蚊から感染する病気で、発症すると呼吸困難や咳、嘔吐、体重減少などの症状がみられます。稀に突然死を起こすこともあります。確定診断と治療が難しい病気です。
愛猫ちゃんをフィラリア症から守るには、毎月1回の予防薬の投与が安全で確実な方法です。背中に垂らすスポットタイプの予防薬がございますので、ご相談ください。

3、ノミ・マダニ予防

ノミやマダニは痒みの原因となるだけではなく、動物にアレルギー性皮膚炎を起こしたり、ウイルスや細菌の病原体を媒介することもあります。
また瓜実条虫(サナダムシ)や猫ひっかき病などの人獣共通感染症(ズーノーシス)の原因にもなります。
さらに近年は人の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の原因となるウイルスをマダニは媒介し、死亡報告が相次いでいます。
特にねこちゃんの場合、人もねこちゃんも重篤な症状になることが知られています。
背中に垂らすスポット剤で予防ができます。人も猫ちゃんも健康に生活するために、定期的な予防を行いましょう。
詳しくはお気軽にお問合わせください。

4、避妊・去勢手術について

中高年期になるとホルモンのバランスが崩れ、様々な病気(子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、精巣腫瘍など)を起こしやすくなります。
特に雌の猫ちゃんに胸のしこりができると(乳腺腫瘍)、その8割は残念ながら悪性の癌で、長生きは難しくなってしまいます。
初発情を迎える前(個体差はありますが生後5-7カ月)に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生率をかなり減らせることが出来ます。
また避妊手術・去勢手術によって、これらの病気の予防が出来ること以外にも、攻撃性や尿マーキングなどの問題行動を減らす可能性もあり、猫ちゃんの精神面も安定しやすくなります。
繁殖を望まない場合は、ぜひ手術を行ってあげましょう。仔猫のうちによく検討してあげてください。

5、室内での飼育

仲間や楽しいことがいっぱい待っている外の世界。でも外出を自由にしてしまうと、交通事故や喧嘩による感染症、中毒などの健康に関わる危険がたくさん増えてしまいます。できる限り、お家の中だけで飼育することをお勧めします。
室内での飼育には、猫ちゃんが大好きな高い場所をつくってあげたり、トイレは十分な数と大きさのものを設置してあげたり、毎日遊びを盛り込んだ生活をしてあげたりと、ストレスを感じにくい生活を心がけましょう。

6、食事管理について

肥満傾向、膀胱炎、腎臓病といった病気が多い猫ちゃん。毎日の食事は猫ちゃんの健康に密接に関わります。
成長期・不妊手術後~成猫期・シニア期といったステージによるケア、個体の体質や性格に合わせて食事を選んであげましょう。
食事については飼い主様だけで悩まないで、ぜひ獣医師や動物病院スタッフにお気軽にご相談ください。

健康診断・検査について

1、尿検査

猫ちゃんは膀胱炎や尿路結石、腎臓病など泌尿器系の病気の発生が多いことはご存知でしょうか?特に腎臓病はシニアの猫ちゃんではとても多い病気で、室内飼育猫の死因の一番と言われています。
尿検査の目的は、いち早くこれらの病気を見つけることです。
若い猫ちゃんでは年に1~2回、膀胱炎を患った経験のある猫ちゃんやシニア期の猫ちゃんは年に2~4回の尿検査をお勧めします。

2、血液検査

猫ちゃんもお歳になると、色々な臓器の機能が衰えてきます。特に上記の腎臓病をはじめ糖尿病や肝臓病などの病気も心配です。
病気を早期発見、早期治療するには定期的な血液検査が大切です。
若い猫ちゃんは年に1回、7歳以上の猫ちゃんは年に2回の血液検査をお勧めします。

3、ウイルス検査

ウイルス病の中でも、猫白血病と猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)は、免疫力の低下により様々な症状を起こすとても怖い病気です。これらの病気は外猫さんの間で蔓延して いて、その感染率は20%という報告もあります。
猫ちゃんを飼い始める時や、口内炎などの病気がなかなか治らない時、外猫さんとの接触があった場合などに検査をお勧めします。

4、甲状腺ホルモン検査

シニア期の猫ちゃんでは、甲状腺機能亢進症という病気の発症が増加します。
一見、よく食べてよく動き元気そうに見えるのですが、どんどんエネルギーを消費して、精神的にもストレスがかかり、循環器系(心臓や腎臓)に悪影響を与え、寿命を短くしてしまう病気です。シニア期の猫ちゃんで、元気だけど痩せてきたかな~というときは、「元気に見えるから病院に行かなくてもいいや」ではなく、この病気の疑いがありますので、ぜひご来院下さい。血液検査で診断が可能です。

来院時に飼い主様に知っておいて頂きたいこと

猫ちゃんは、他の動物や外への移動にとてもストレスを感じやすい動物です。
そのため飼い主様も猫ちゃんを病院にお連れになるのがかわいそうに感じ、受診が遅れてしまい、来院時には病状がかなり進行している傾向があります。
尿検査や便検査だけでの受診も可能です。また当院は予約制ですので、なるべく待ち時間や他の動物の少ない時間に受診していただくことも可能です。
シニア期の猫ちゃんであれば、シニアケア診療(水曜日と日曜日 13:00~16:00、前日までの完全予約制)での受診が最もストレスが少ないと思います。

また、緊張から凶暴性が出てしまう子や、脱走を試みる猫ちゃんもいますので、これらの心配がある方は、お家で大きめの洗濯ネットなどに入れてきて頂けると(猫ちゃんは体に密着しているものがあると落ち着きます)、怪我や逃亡の事故の予防につながります。
移動時のキャリーは上が開くタイプのものが猫ちゃんの診療には安全で適しています。
ご不明な点や、来院時に困った点などあれば、お気軽にご相談ください。
猫ちゃんが快適に過ごせるように、努力してまいります。