犬 (アダルト) の診療

年間予防スケジュール

予防項目について

① 混合ワクチン接種

現在、混合ワクチンは最大でワンちゃんでは8種の感染症が予防可能です。
当院では飼育環境や生活スタイルに応じて、6種もしくは8種の混合ワクチンを選んで接種を行っています。必ず毎年1回の接種を行いましょう。

② 狂犬病予防接種

狂犬病に感染して発症すれば、ほぼ100%死亡します。生後91日後のワンちゃんは、市区町村への「登録」と年1回の「狂犬病予防接種」が法律で義務づけられています。

③ フィラリア予防

フィラリアは蚊が媒介する白いそうめんのような虫で、蚊から体内に侵入し、やがて心臓に寄生して、呼吸困難や心不全を起こし、死に至る病気です。
座間市付近では、5月~12月の毎月1回(注射の場合は年1回)の予防薬の投与で、ワンちゃんの体内に侵入したフィラリアの幼虫を皮膚にいるうちに駆除することができます。予防薬には錠剤、おやつタイプ、スポット剤、注射といったタイプがございます。

④ ノミ・マダニ予防

ワンちゃんにノミ・マダニが感染すると、皮膚炎やアレルギーを引き起こすだけではなく、犬の「バベシア症」などの血液病を引き起こす恐れがあります。また人の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の原因となるウイルスをマダニは媒介し、死亡報告が相次いでいます。ワンちゃんの場合、スポット剤や錠剤などで予防ができます。詳しくはお気軽にお問合わせください。

⑤ 健康診断

年間1~2回の健康診断を受けましょう。
血液検査・超音波検査・レントゲン検査・便検査・尿検査などご相談ください。
歯石のチェックや関節のチェックなども行います。

3~5歳までのワンちゃん

この時期のワンちゃんは元気いっぱいな時期でもあります。
この時期に気を付けていただきたいことは、「病気になりにくい習慣作り」です。この時期の習慣が老後の健康管理に関係してきます。この時期からしっかりと健康管理を行いましょう。

5~7歳までのワンちゃん

この時期に気を付けていただきたいことは、「シニア期に向けた健康維持」です。
7歳以上になるとワンちゃんはシニア期に入ります。
シニア期に入った時に慌てて治療を始めるようなことにならないように、将来を見据えた健康管理を行いましょう。

デンタルケアについて

3歳以上のワンちゃんの70%以上が歯周病といわれています。
歯周病は口の中の病気や口臭のトラブルを起こすだけではなく、心臓病や腎臓病などの内臓疾患の原因にもなり寿命にも影響を与えることがあります。
当院では、歯科検診をはじめ、その子にあったデンタルケアの提案・指導、麻酔下での歯石除去処置(スケーリング)などを行っています。
待合室にはデンタルケア製品のコーナーもございます。お気軽にご相談ください。

白内障やドライアイなどの眼病について

5-6歳頃になると眼の病気もしばしばみられるようになります。
水晶体が白く濁る白内障や、涙液が減少するドライアイなどの眼病は悪化すると、角膜潰瘍やぶどう膜炎を起こし、緑内障に移行し失明してしまう恐れもあります。
当院では、涙液量の検査やスリットランプ検査(眼の前面~水晶体の状態をチェックします)、眼圧測定(緑内障の検査)などの眼科検査を行っています。
若い時期からの眼のチェックはとても大切です。

犬 (シニア) の診療

病気の早期発見・治療

この時期に気を付けていただきたいことは、「病気の早期発見・治療」です。シニア期になると、少なからず体調の変化が出てきます。多くの老齢性の病気は早期に発見できると、上手く付き合っていくことができ、重症になるのを防ぐこともできます。

シニアのワンちゃん用チェックリスト

  • 体重の減少がある
  • 水を飲む量が増加してきた
  • 嘔吐する頻度が増加してきた
  • 食事の嗜好性が変化してきた
  • 糞便の色が変化してきた
  • 尿の回数や量が多くなってきた
  • 尿の回数や量が少なくなってきた
  • 歯肉からの出血などの異常がある  食事の際に食べ物を口からこぼす
  • 目からの分泌物の色が変化してきた (白・黄色・血の混じったような茶色)
  • 耳の内部が汚れている
  • 被毛の状態が変化してきた (乾燥・ツヤが無い・フケ・脱毛)
  • 寝る時間が長くなってきた
  • 物事への関心が低下してきた

上記のチェックリストが1つでも当てはまる・気になることがある場合は診察時にお尋ね下さい。健康な状態でも、年に2~4回は定期健診を受けましょう。

日頃から気を付けていただきたいこと

シニア期になっても元気に過ごすためには、日常的な予防や対策を行いましょう。

デンタルケア

この年齢の殆どのワンちゃんに歯石の付着がよく見られます。特に、これまで何もしてこなかった・・・という場合は要注意です。年齢や体調によっては、処置によって歯石を取ることが難しい場合もあります。歯石による歯周病は心臓病をはじめ、様々な病気の原因になることも分かっていますので、しっかりとデンタルケアを行いましょう。

心臓の病気の早期発見

心臓は知らないうちに徐々に悪化していきます。定期的な心臓検査が必要です。
息をする様子がおかしいなどがあれば、要注意です。

肥満の防止

まるまるとしているのが可愛いという飼主様もおられますが、シニア期の肥満は関節や脊椎への負担を大きくします。関節炎や脊椎疾患の原因を防ぐという意味でも、食事と運動をきちんと管理して、肥満を防止することが大事です。

腫瘍

常に異常が無いかチェックしましょう。体表に小さなしこりが無いかをチェックすることも重要です。病院での検査で早期発見に努めましょう。

シニアのワンちゃんに多い病気

脊椎の病気(変形性脊椎症など)

老齢期に多く見られ、腰痛や歩行障害などが起こります。重症化すると後肢が麻痺し、寝たきりになってしまうこともあります。

生殖器の病気(子宮蓄膿症:女の子)

細菌感染などで子宮の中に、膿が溜まる病気です。避妊手術をしていない6歳以上の子に多く見られます。ホルモンバランスの乱れや、高齢に伴う免疫の低下で細菌に感染するリスクが高くなるといわれています。

生殖器の病気(前立腺肥大:男の子)

オス犬の膀胱の後方で尿道を囲むように存在する前立腺が徐々に肥大してくるのが前立腺肥大です。進行すると、排便・排尿障害や細菌感染を伴う前立腺膿瘍を引き起こすこともあります。

肛門の病気(会陰ヘルニアなど)

去勢手術をしていない男の子がかかりやすくなります。高齢になり、おしりの周りの筋肉が緩んできたためにできた穴(ヘルニア孔)から腸や膀胱が脱出し、排便・排尿障害を起こします。

腫瘍(乳腺腫瘍、リンパ腫など)

腫瘍は癌や肉腫とも呼ばれ、高齢になると発生しやすくなります。
乳腺腫瘍は女の子に最も多く発生する乳腺にできる腫瘍です。特に避妊手術をしていない女の子での発生率が高い傾向にあります。その他にも人間と同様、様々なところに腫瘍は発生します。

心臓の病気(僧帽弁閉鎖不全症など)

僧帽弁とは、心臓の左心房と左心室の間に存在する弁で血液が逆流しないようにする重要な役割を果たしています。この弁が異常をきたし心不全による発咳・運動不良・失神・肺水腫などの症状が出ます。

関節の病気(変形性関節症 など)

主に、中高齢期の股関節・肘・膝・肩によくみられ、関節の軟骨組織がすりへったり、破壊されたりすることにより、様々な部位に発生して関節の動きが悪くなったり慢性的な痛みを伴います。

口腔の病気(歯周病 など)

歯と歯茎の間に入り込んで増殖した細菌によって歯茎が炎症を起こし、歯を支える部分が破壊されていく病気です。歯に溜まった歯垢や歯石が主な原因となります。

上記の病気は一例です。また、病気を予防するためにも日頃のケアに気を付けましょう。

年間予防スケジュール

健康診断について

年間2~4回の健康診断を行いましょう。シニア期に特有の病気も多くあります。
血液検査・超音波検査・レントゲン検査・便検査・尿検査などご相談ください。
歯石のチェック、関節のチェック、眼のチェック、認知症のチェックなども行います。

「アンチエイジング」「QOLの向上」について

当院では、「アンチエイジング」「QOL(生活の質の改善)」の為に、オゾン療法やプラセンタ療法を導入し、統合医療を用いたケア・治療を行っています。

シニアケア診療

院では、通常の診察とは別に「水曜日と日曜日 13:00~16:00」に時間を設けて、老齢動物のための特別診療をさせていただいております。
動物たちもお歳になると、体の不調がでやすくなります。飼い主様も不安や心配が増えてくると思います。
病気の早期発見の為の検査、老齢期に起こりやすい病気の予防や、お家での過ごし方・ケアの仕方について、すでにいくつかの病気を抱えてしまいどうしてあげたら良いか、ゆっくりと相談できる時間となっています。「ずっと幸せでいてほしい」私たちの願いです。